●1999年8月29日 WBC世界バンタム級タイトル・マッチ
 ウィラポン・ナコンルアンプロモーション(タイ)VS辰吉丈一郎

 ウィラポンvs辰吉、私の予想は(8−2)でウィラポン選手でした。前回の試合はウィラポン
選手が辰吉選手の動きを完全に読み切った・見切っていた!普通に考えれば(9−1)の予
想ですが、辰吉選手なら、もしかしたら!そんな予感がしたのですが・・・・

 
【1R】
 ゴングが鳴ると辰吉選手いきなり右を振るう。これはイン・ファイト作戦か?ジャブからボディ
へのストレートを狙う辰吉選手・・・・しかし、その後は、にらみ合いからジャブを突く展開。
 ラウンド中盤、両者の体が接触したときクリンチになったが、その時の辰吉選手の表情,力
の込め方!この試合にかける意気込みが感じられた。
 しかし、ラウンド終盤ウィラポン選手の鋭いジャブが決る。

【2R】
 ラウンド開始から辰吉選手、力強い右ストレート、左フックを振るう。−そうだ!君はチャレンジャー
なのだ!積極的に行け!
 しかし、また、にらみ合いからパンチを振るう展開。1Rとちがい辰吉選手は、いきなり右のパン
チを振るう。
 対するウィラポン選手は正確なパンチを決める。辰吉選手はウィラポン選手のボディを狙うが決ま
らない。
 −それにしても辰吉の手数が少なすぎる、消極的だ!何よりも作戦が感じられない。何やってんだ
よぉ〜!−

【3R】
 ラウンド前半、辰吉選手、積極的にパンチを振るう。
 −そうだ!とにかくウィラポンのリズムを崩せ!−
 しかし、すぐに、にらみ合いなる。ラウンド中盤ウィラポン選手が積極的にパンチを振るう。辰吉
選手も応戦するがウィラポン選手のパンチは正確だ。
 −それにしても辰吉は何やってんだ!なぜウィラポンの距離で応戦するのか?もっと密着するとか、
距離をとるとか・・・・あまりにも策がなさすぎる!−
 ラウンド後半はウィラポン選手の連打を浴びる辰吉選手!フラフラになりながらも本能的に手を出
す、何とかクリンチでのがれる場面も・・・・ラウンド終了直後ウィラポン選手の強烈な右ストレートを
浴びるが、それでも倒れない辰吉!!!

【4R】
 このラウンドは、にらみ合いからジャブを突く展開。
 辰吉選手は1分間のインターバルで3Rのダメージを、かなり回復したように見える。
 対するウィラポン選手は慎重な試合運び。
 −これはラッキーだ!とにかく、ここは距離をとって3Rのダメージを回復させろ!−
 ラウンド中盤をすぎるとウィラポン選手の鋭いジャブが決まる。
 ラウンド後半、辰吉選手が右フックを決めるが、離れ際ウィラポン選手も右フックを当てる。

【5R】
 ラウンド前半、両者積極的にジャブを繰り出す。ラウンド中盤、ウィラポン選手の強烈な右フック
が辰吉選手の顔面を直撃!一瞬、グラついた辰吉選手にウィラポン選手の連打が襲いかかる。
 フラフラになりながらも本能的に手を出す辰吉!何とかクリンチでのがれる場面も、必死に手を
出す辰吉選手!しかしパンチにパワーがない!窮地に追い込まれる・・・・なんとか、このラウンド
を耐えきった辰吉選手。
 −このとき実況中継は辰吉の闘志を称えていたが、私は痛々しく、見ているのがつらかった。−

【6R】
 このラウンド、またしてもウィラポン選手は慎重な試合運び。
 一方、辰吉選手は5Rのダメージがありありと感じられる、本能で戦っている感じだ。パンチを出
すがパワーがない。
 −しかし、足は動いている。ここは距離をとってダメージの回復を優先させろ!−
 単発ではあるがウィラポン選手はパンチをビシビシ決める。
 ラウンド終了直後には、辰吉選手のダメージが増した、ことがありありと見てとれる。

【7R】
 ラウンド直後、ビシビシ、パンチを決めるウィラポン選手。ラウンド中30秒頃にレフェリーに「まだ
ヤルのか?」と目をヤル場面も・・・・  
 ウィラポン選手の右フックが決まった、ところでレフェリーが試合をストップ!セコンドからタオルが
飛ぶ!
 糸が切れたように倒れかかる辰吉!彼を抱きかかえるレフリー!それをささえるウィラポン。(←な
んてイイヤツなんだ!)

 倒れかかった辰吉選手を抱きかかえたスティール・レフェリーの素早い対応。それをささえたウィラ
ポン選手の紳士的な対応に感謝です。


 それにしても・・・前回の試合の負因は、ウィラポン選手が辰吉選手の動きを完全に読み切った,見
切っていた!ことにあると思う。
 ウィラポン選手に勝つには「アウト・ボクシング」「ヒット・エンド・ラン」「イン・ファイト」とにかく作戦が必
要だと思う。

 ところが今回の試合は何なんだ!

 作戦といったものが、まったく感じられなかった!ホントにウィラポン選手に勝つ、つもりがあったの
か?辰吉選手自身,セコンド陣は何を考えてるのか?前回の敗戦から学ぶことをしないのか?
 もし、作戦があり、それが発揮できなかった、としたらセコンド陣は早めにストップすべきだった!と
私は思う・・・・

 辰吉選手の闘志は、たしかにスゴイ!しかし、それは作戦や技術が伴って力を発揮するもの。より
正確にいえば闘志,技術は車の両輪であり、その土台に作戦があると思う・・・・

 見ていて「何やってんだ!」イライラするし・・・・終盤は見ているのが非常につらかった。


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