●ベルリオーズ 幻想交響曲
コリン・デイヴィス/指揮
ロンドン交響楽団
録音:2000年 9月27&28日(ライブ)
LSO LIVE/LSO 0007 CD(輸入盤)
ベルリオーズ 幻想交響曲は「ある芸術家の生涯における一挿話」という標題がつけられており,
「感受性の強い若い芸術家が恋の悩みに絶望して阿片自殺をはかるが、その分量が少なく奇怪な夢
を見る」 とある。さしずめ麻薬によるトリップ体験ですね。まぁ,ベルリオーズが生きていた19世紀は
知る由もないが・・・・21世紀に生きる現代人がこの曲を聴いて麻薬のトリップ体験を感じ取れるか甚
だ疑問である。
どうもベルリオーズ本人が語った言葉として尊重されているようだが・・・・私が想像するのに,当時はこ
のような註釈がないと,大胆な楽想やオーケストレーションが受け入れられなかったから,その言い訳と
してベルリオーズが語った。現代人はそんなニュアンスとして受け止めるのが妥当ではないだろうか??
そんな風に思うのはコリン・デイヴィスのせいである。
コリン・デイヴィスの演奏はじつに繊細かつ緻密である。麻薬のトリップ体験を描くのでなく,ベルリオー
ズが書き残した旋律,その絡み合い,など,着想や扱いのおもしろを丹念に描いて行く。
つまりだ!幻想交響曲はトリップ体験のハチャメチャを描いたのではないのだ!
しかもだ,スマートでお上品な演奏にとどまることなく,デイヴィスの内に秘めた情熱が感じられる演奏
に仕上がっている。
さらにデイヴィスはこの情熱を星一徹のちゃぶ台ひっくり返しのような感情の激白としては使わない。丹
念に各楽章で少しづつ解き放つのである。そのため,大きなテンポ変化も,巨大なフォルティシモも作為
的でなく,すばらいしい演奏にこころ打たれるのである。
これらの伏線が4,5楽章で開花する見事さは息を呑むばかりである。緻密さと熱狂の融合と仰々しい表
現をしたくなる。音楽が進むにつれボルテージ高くなり,熱くなるが,ガッシリ組み上げられた音楽は乱れる
ことはなく,むしろ密度が高まり充実して行く!聴き終えるとすばらしい演奏を体験した充実感に浸れるの
である。
ディヴィスなかなかヤるの〜
02/01/18
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