●ベルリオーズ 幻想交響曲
作品14
オットー・クレンペラー/指揮
フィルハーモニア管弦楽団
録音:1963年4,9月
EMI CDM 7 64143 2(輸入盤)
幻想交響曲には「ある芸術家の生涯における一挿話」という標題がつけられており,「感受性の強い若い
芸術家が恋の悩みに絶望して阿片自殺をはかるが、その分量が少なく奇怪な夢を見る」とある。
ベルリオーズが書き記したという大義名分。曲自体もそのように進行するのだから、演奏するときはこの
ストーリーを念頭に描いてゆく。まことに正攻法・正統派・教科書とおりのアプローチである。
では?「感受性の強い若い芸術家が恋の悩みに絶望して云々・・・・」といったストーリーを無視したらどう
なるか?
それは、このクレンペラー指揮の演奏で確かめることができる。すこぶるおもしろい!
曲の冒頭から次元の違う世界が広がる「恋人に対するとりとめのない思い云々・・・」といった心理描写を
バッサリ切り捨ている。<固定観念>スミッソンの主題も、あらゆるメロディーも、曲の展開にも感情を排除
して冴え冴えとした雰囲気で進んでゆく。
その代わり、ゆったりとしたテンポひとつひとつのメロディー美しさ、各楽器の重なり具合、強弱のつけ方を
丹念に緻密に描き出してゆく。
そのため感情を排除した演奏で懸念される無味乾燥な演奏に堕することなく、色彩豊か、生々しさ、迫力
に心底感服するのである。
05/05/27
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