●ベートーヴェン 「コリオラン」序曲&交響曲 第5番
 宇野功芳指揮
 アンサンブルSAKURA 
 録音:1998年1月18日(L)
 FONTEC FPCD 2724(自主制作盤)



 ●ベートーヴェン作曲:「コリオラン」序曲 作品62

 この演奏、ティンパニの響きが見事な効果を決めている。しかも、ティンパニの響きが一本調子になっ
ていない!微妙に強く!微妙にやわらかい!

 (0:31)これまで、するどいく断ち切るように響かせていた音楽を、微妙に響きに変え、つづく、第1主
題の登場を暗示させる。
 第1主題は少し、さぐるような感じで提示して。再び、主題が現れるときは微妙に変化をつける。その後の
経過部での、金管の暗く、訴えかけるような響き!情熱的な弦楽の響き!充実した音楽にぐいぐい引き込
まれる。テンポを落として第2主題がやさしく、美しく現れる。
 (2:36)テンポを煽り緊張感を引き出だす。(3:01)からのティンパニの響きが決まっている!
 主題展開部も音楽がだれることなく緊張感と充実した響きに音楽が充ちている。
 (8:20)のティンパニの一打を伴ってテンポを落として終結に向かい、やがてラストのピチカートの弱音む
かえる。
 ここでも、音楽の緊張感と充実した響きが失われていないのが見事だ!
 
●ベートーヴェン 「コリオラン」序曲&交響曲 第5番
 宇野功芳指揮
 アンサンブルSAKURA 
 録音:1998年1月18日(L)
 FONTEC FPCD 2724(自主制作盤)


●ベートーヴェン作曲:交響曲 第5番 ハ短調 作品67

 第1楽章: 
 ベートーヴェンの第5番は新星日本交響楽団(91年4月16日)のライブ盤が発売されているが、冒頭の
運命の動機の扱い方が違う。
 新星響では「ジャッ・ジャッ・ジャッ・ジャッーン」と1音、1音、丹念にじっくり掻き鳴らす。
 アサンブルSAKURAでは「ジャ・ジャ・ジャ・ジャーン」といっきに掻き鳴らす(テンポは遅め)。しかし、その
直後サッとテンポを速く採り、テンポを落として再び運命の動機を提示して、またサッと速めのテンポを採る。
 つまり「運命の動機」が提示されるとテンポを落として、この動機を強調するのだ!
 やがてホルンのモティーフに導きだされ第2主題が現れる。このホルンの響きが実にイイネ。第2主題は
ゆったりしたテンポで現れる。
 CDで聴くと、ここまでの約1分30秒でかなり大胆にテンポに変化をつけていることが、よく判る。しかし、
音楽は自然に流れ、芝居ががった不自然さは、私には感じられなかった。
 主題展開部、冒頭、金管の雄叫びは、ゆっくりしたテンポで現れるので、主題展開部もスローテンポかな?
と思っていると、以外に速いテンポで音楽が流れるので意表をつかれるが(4:30)からテンポをイッに落
として主題再現部を導く。即興的な表現かなと思っていても、ちゃんと計算がされているなぁ。と思っている
とオーボエのカデンツァは以外に速いのでびっくりする!
 第2主題再現を導くモティーフはホルンが担当している(私、個人は原譜のまま、ファゴットの方が好きな
のですが・・・)。
 コーダーでの(7:37)強烈なティンパニに轟きに身震いする、まさしく一撃入魂!(8:54)の運命の動機、
提示の後の息をのむような総休止!その後、何かをさぐるように音楽が動きだし、たたみかけるように終
結する。

 第2楽章:
 ここでも宇野氏の独自性が発揮されている。絶妙な弦楽器群の刻み!やわらかいホルンの響き!(7:22)
曲想の変化に伴って加速するテンポ!(7:42)木管の悲しげな歌を、ささえる弦楽器の伴奏の美さ!(10
:24)の総休止からのテンポと響きの強弱にハッとする。

 第3楽章:
 冒頭の響きが力強いのが宇野氏らしい、彼の評論によく「最近ピアノの指定にとらわれて音楽のコクが失われ
ている・・・」と、語っている。まさしく有言実行!
 第1楽章の運命の動機を思わせる3連音でのホルンが、じつにイイ音をだしている。それに答える弦楽器群も
表情深い。
 トリオでは速いテンポで突き進み、ティンパニの強打に身震いする。この楽章でもテンポの振幅は大きく(4
:11)頃になると止まりそうになるほどのだ。ピチカートによる主題再現になっても弱音を強調することなく、
しっかり音をだしているのも宇野氏らしい。
 やがて、第3楽章から第4楽章へのブリッジ・パッセージに入るが、ここでティンパニーが独自の効果を発揮
する。
 
 第4楽章:
 いよいよ勝利の雄叫びとも、勝利の行進とも表現できる、第1主題が現れる。個人的考えだが、このター・
ター・ター・ティ・タ・タ・タ・タ・ターの主題は、「おもいっきり、ゆっくり」か・「おもいっきり、速く」
か、両極端!
 どちらかのテンポで演奏すると効果的であると考ている。ここでは、ゆっくりとしたテンポで演奏しているよ
うに私は感じるのですが・・・。
 第2主題もそのままのテンポで進め、雄大な進軍を思わせる。しかし、その後はテンポの振幅を大きくとり聴
き手の心を揺さぶる。やがて第3楽章の回想に入り(5:03)第1主題の再現が始まる。
 こんどは速いテンポだ!
 そして第2主題の頃には最初のテンポに戻っているように感じる!(ライブならではのスリリングな展開だ!)
 そして、いよいよハイテンポでコーダに突入する。途中でテンポに加速がかかり、ビックリするほど速いテン
ポにまで駆け上がり、ティンパニが、みごとにな効果を決める。
 (9:19)テンポが激変して、1音、1音、じっくり和音を響かせる!そして、1音、1音の総休止の緊迫
感がこれまた凄い!とどめに、また、また、ティンパニが独自の効果を決めて、壮大、壮絶な音楽の幕をとじる!
 
 いや、本当にすごい演奏だ!ティンパニが独奏楽器のように暴れ、轟く! 本当に、よく、ここまで思いきる。
思い切ってくれた!ふだん気づかない何気ない旋律が耳に飛びこんでくる!流動するテンポの変化!緊迫する沈
黙!そして、なによりも響きが生き生きして、充実している!
   
98/06/24


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