●フルトヴェングラー/ベートーヴェン 「第九」のあれこれ
◎ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
1942年3月22日or24日,4月19日との説もある
TAHRA FURT 1004-1007(輸入盤)
第1楽章
空虚な響きの中から主題の断片が闇の中に光が射すようにティ、ターン、ティ、ターンと展開される。ここで
4盤3様の印象を受ける。
べルリンPO盤は力強く主題の断片を奏でる。音楽が膨れ上がり第1主題がタターンと姿を現すとき、べル
リンPO盤は力強く張りがあり、直接的な迫力が全体に漲っている。また第2主題付近でのリタルダンド、その
後の盛り上がり、主題再現部直前のオドロオドロしい雰囲気、主題再現部の迫力。247小節から252小節で
の怪しげな雰囲気と加速!その後のぶつかり合うような熾烈な音楽!やはり直接的な迫力はコレが一番で
しょう。
第2楽章
ベルリンPO盤はハイ・テンションで一気に進める印象です。トリオでのホルンが朗々と響くのは印象的。
第3楽章
ベルリンPOに限らず、どの盤も共通するが、ゆったりしたテンポで徐々に心の内を解き放つような演奏
ですね。メロディーをしみじみ歌わせる。聴いていて、美しさと懐かしさを感じさせます。
そんな、なかでベルリンPO盤ではどこか湿った暗い感じがします。
第4楽章
ベルリンPO盤だけは木管楽器主体で猛スピードの冒頭からレシタティーヴォになだれ込む、ここでテンポ
をあまり落とさずに、レシタティーヴォ風を強調しない。この表現を私は好む。ここでテンポを落としすぎると、
冒頭からの緊張感を分断してしまうからだ。
歓喜の主題がわき上がる部分からハイ・テンションで、375小節のテノール独唱と男声合唱が加わる部
分のやや強引と思われるようなスピード感と迫力には興奮させられる。
全体的にグイグイと押し切る演奏に感じられます。このグイグイ押し切る感じを私はやや強引と感じます。
録音状態は合唱部分になると濁りぎみで、ティンパニーの残響が響き過ぎる感じがすます。
◎バイロイト祝祭管弦楽団
1951年7月29日
EMI TOCE-6510
第1楽章
バイロイト盤の冒頭はぎこちない感じで、第1主題は押さえた感じです、しかし、それがプラスに作用して
間接的な迫力を生み出している印象を受けます。第2主題、主題再現部も同様である。247小節から252
小節でのベルリンPO盤のような暗い雰囲気はないが加速と迫力は充分に伝わってくる。
ベルリンPO盤は最初から、エンジン全開の演奏と表現するならバイロイト盤はアクセルを徐々に開ける
演奏。との印象を受けます。
第2楽章
バイロイト盤はベルリンPOと違い、導入部をゆっくりしたテンポで入り提示部へと進み、展開部でテンション
を高め行く感じです。
第3楽章
バイロイト盤は第2主題から、みるみる表情たっぷりの演奏なり、4盤の中で最も表情豊かな演奏になって
います。
第4楽章
バイロイト盤の冒頭は金管楽器主体でベルリン盤よりスピードは控えめ、歓喜の主題がわき上がる部分は、
まだ抑制させ313小説の合唱部分からテンションが高まり、その後の雄弁さはベルリンPO盤を上回る。
全体的に最初は抑制して徐々に盛り上がりハイテンションに至る演奏に感じられます。特に第3楽章は、
4盤中もっとも表情が豊かです。
録音状態は、まあまあですが合唱部分になると濁りぎみになる。
◎ウィーンPO
1953年5月30日or31日
DG 435 325-2(輸入盤)
第1楽章
ウィーンPO盤の主題の断片は非常に弱く、ほとんど聴こえないほどだ。いよいよ音楽は第1主題に突入す
るが演奏は冴えず、迫力、緊張力に不足する感じがする。しかし、音楽が進むと徐々に充実感が出てくる。
残念ながら4盤の中では一番魅力が薄い。
第2楽章
ウィーンPO盤の第1楽章は指揮者とオケの呼吸が合っていない印象ですが、第2楽章では強靱で張りの
ある響きを聴かせ、指揮者とオケの呼吸が合致した印象です。トリオではホルンをもっと朗々と響かせるの
が僕好みですが、それ以外はメリハリがきき鮮烈な印象を受けます。
第3楽章
ウィーンPO盤はあっさりとした表現で流れを重視した演奏になっていいます。
第4楽章
ウィーンPO盤は他の3盤に比べるテンションが低くもの足りない、164小節、歓喜の主題が合奏され部
分、432小節からのフーガの力強さに惹かれるが・・・・魅力的な部分が部分的に留まっている印象を受け
ます。
全体的にフルトヴェングラーとウィーンPOの呼吸が合っていない印象を感じます。魅力を感じる部分が
多々あるので、そんな感じを抱いてしまう。
録音状態はかなり良好です。
◎フィルハーモニア・管弦楽団
1954年8月22日
TAHRA FURT 1003(輸入盤)
第1楽章
フィルハーモニア盤の冒頭は力強い。全体的にべルリンPO盤ほどではないが力強く張りが漲っている。
第2楽章
フィルハーモニア盤、出だしはウィーンPO盤より劣る印象を受けるが、主題提示部になると強靱で張りの
ある響きを聴かせる。トリオでホルンが朗々と響くのは聴いていて気持ちイイ!
第3楽章
フィルハーモニア盤はバイロイト盤より抑制をきかせウィーンPO盤より表情豊かといった感じです。
第4楽章
フィルハーモニア盤はベルリンPO盤やバイロイト盤ほど雄弁ではないがウィーンPOよりテンションが高
く、張りがあり聴きごたえがする。
録音状態は良好だが、ややクセ(トランペットとティンパニーがかなり強い)があり最初は驚くがしだいに
気にならなくなる。しかも、これがプラスに作用して決め所に迫力が加わり聴きごたえする。
さて、一般的に「第九」の名盤というとバイロイト盤が高い評価を受けているようであるが・・・・録音状態
(特に合唱部分)に歯痒さを感じる。
フィルハーモニア盤はバイロイト盤ほど雄弁な演奏ではないが、演奏に張りがあり、録音状態はバイロイト
盤のような歯痒さを感じさせない。
私の印象ではフィルハーモニア盤を第1に推したい。
参考文献
・宇野功芳/フルトヴェングラーの全名演名盤/講談社+α文庫
・音楽の友・別冊/第九のすべて/音楽之友社
・NHK趣味の講座〜第九をうたおう/日本放送協会
99/12/09
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