●ベートーヴェン 交響曲 第5番
J.S.
バッハ 管弦楽組曲 第3番 より アリア
へルベルト・ケーゲル/指揮
ドレスデン・フィルハーモニー管弦楽団
録音:1989年10月18日(L)
Altus ALT056
Cover Desing ; Keisuke Saito
同日収録の前半のプログラム:エグモント序曲と「田園」交響曲(特にエグモント)が特異な演奏で印象に残ったの
で後半のプログラムを収録したCDもゲットした。
ベートーヴェンの5番、出だしの「ジャジャジャ、ジャーン」は淡々としているが、しだいに煮詰まる感じである。特に
弦楽器がビシッと決まり出すと、このコンビの奏でる硬質で透明な響きと相まって「ジャジャジャ、ジャーン」が現実の
苦悩や格闘とは異なり、過去の回想を眺めるような、そして知的でクールな演奏として感じられる。
第2楽章はこのコンビの奏でる硬質で透明な響がもっとも映える楽章である。音の強弱、テンポの振幅が大きく、非
常に美しく、穏やか雰囲気で奏でられるのだが・・・・後半(9:30)の弱音は極めて弱々しく、テンポは遅くなりフレーズ
の終わりはたどたどしく、音楽の流れが途切れる程の異様な展開となる。こうなると演奏というよりも、切実な個の告
白のように感じられる。
第3楽章が葬送行進曲のように聴こえるのには驚いた!暗く引きずるような重々しい表現!トリオで音量を抑える
のが不気味なうごめきに聴こえしまう。再現部冒頭(3:58)でミス(だと思う)がある。私は演出?と勘ぐってしまった。
そして移行句を経て音量が膨れ上がり最高潮に達し第4楽章になだれ込む。
このときの金管爆発、異常なまでの遅いテンポ、その後の急激な加速、減速、何だこれは?これほど露骨なテンポ
変化は異様である。
フルトヴェングラーのような音楽に没入し雄弁に語る表現は異なり、知的でクールな視点を残したまま、あえて露骨
にムキになって歓喜の爆発させている感じである。そのため展開部ではパワー・ダウンしてほの暗い陰が射し、再現
部でまたムキになって陰を振り払いコーダになだれ込む感じである。
なんとも異様な演奏である。感動的、素晴らしい演奏、そんな感想とは違い、私の感性とは相容れないが、何かに秀
でた、そしてなぜか?私を引き付ける特異な演奏に違いなかった。
さて、アンコールはバッハのアリアである。絶品である。とても美しく、はかなく、そして瞑想的な演奏である。私には、
このコンサートのメインはバッハのアリアではエグモントも、田園も、第5も、バッハのアリアのための前菜だったのでは
ないかと思う。それほど強く心を揺さぶられた演奏であった。
この1日のコンサートを収録した2枚のCDを聴いて強く印象に残ったのはエグモント序曲とバッハのアリアであった。
03/09/11
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