●モーツァルト セレナード 第13番 ”アイネ・クライネ・ナハトムジーク”
 コリン・デイヴィス指揮
 フィルハーモニア管弦楽団
 録音:1959年
 EMI ENCORE CDE 7 67777 2(輸入盤) 

 安いから買った。そんな単純な動機で購入したCD。思わぬ名演にビックリ!そんな経験を嬉しいものである。

 芸術の価値をお金を計るなんて!と思う人が居るかもしれないがズバリ偽ざる庶民の実感なのである。

 モーツァルトのアイネ・クライネ・ナハトムジークは極めて有名な曲である。明朗で優美な珠玉の名曲こんな表現ピッタリの曲である。それゆえにこの曲を聴いて驚くような体験はクナッパーツブッシュの超個性的な以外にはありえないと思っていた。この録音を聴くまでは・・・・

 出だしは様子を探るように開始される正直冴えない印象を受ける。ところがいつの間にやらヴァイオリンが艶やかな色気を放ち始めるのである。それだけではない音楽に溌剌とした生気が宿り、メロディは明快にたっぷり歌い、装飾音は切れるような闊達さで踊る。
 低音を受け持つ弦楽器がときには表、ときには裏にと明滅し、テンポの伸び縮みは自在に変幻する。これほどの多様なニュアンスを盛り込んでも細部まで気を使い策を弄した神経質な感じは皆無なのである。

 録音データを調べると1959年録音。単純計算でデイヴィス32歳の時の録音である。こんな若造がこれほど完成度の高い多様なニュアンスを含んだ演奏をしていたとは驚きである。

 芸術の価値を年齢で計るなんて!と思う人が居るかもしれないがズバリ偽ざる私の実感なのである。


05/09/19


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