●ヨハン・シュトラウス:ワルツとポルカ集
 ペーター・マーク/指揮
 ローマRAI交響楽団
 トリノRAI交響楽団 *
 録音:1993年1月22日&3月26日 
     1975年10月24日 *
 ARTS ARCHIVES 43036-2
●収録曲目
 ・メロディーエン・カドリーユ op.112
 ・山賊のギャロップ op.378
 ・ポルカ『浮気心』 op.319
 ・皇帝円舞曲 op.437
 ・ワルツ『南国のばら』 op.388
 ・アンネン・ポルカ op.117 *
 ・トリッチ・トラッチ・ポルカ op.214 *
 ・喜歌劇『こうもり』序曲 *
 ・ポルカ『雷鳴と電光』op.324 *

 ・チェロと管弦楽のためのロマンス第1番 op.243
 ・ピツィカート・ポルカ
 ・ポルカ『観光列車』 op.281
 ・ワルツ『美しく青きドナウ』 op.314
 ・常動曲 op.257

 ヨハン・シュトラウスのワルツとポルカといえばウィーン・フィルのニュー・イヤー・コンサートを思い浮かべる
人は私だけではないだろう。いつからは定かでないが、今や世界各国に中継がなされ、毎年ライブ録音のCD
が発売される。
 しかも、年々CDの発売日が早められ、近年はコンサートの数週間後にCDが店頭に並ぶ異常事態にまでエ
スカレートしている。
 その是非は別として、ウィーン・ムジークフェラインザールの黄金ホールが花々に彩られる華やかな会場となり、
親しみ易いメロディーが満載のワルツとノリの良いポルカが奏でられ、新年のスピーチが行なわれ、ラデツキー
行進曲では手拍子が起こる。

 ウィーン・フィルのニュー・イヤー・コンサートは年頭の一大イベントに成長している。

 前置きが長くなったが、今回はウィーン・フィルのニュー・イヤー・コンサートの話ではない。ペーター・マーク/
指揮のライブ盤の話である。録音は1975年と1993年と18年の隔たりがあり、収録は75年録音の両端に93
年録音を挟み込むスタイルで、1975年録音よりも1993年録音の方がクリアーな音に仕上がっている。念のた
めに、付け加えるが1975年録音も満足できるレベルに仕上がっている。

 マークの演奏は演奏上のツボを押さえているという印象で,キビキビとしたテンポの中に、テンポをゆらしたり、
鋭角的な強弱をつけたり、打楽器や金管を強奏させたり、情緒的に旋律を歌い上げ大見得を切ったり、などなど、
絶妙なメリハリを効かせる。
 
 例を挙げてゆくと「皇帝円舞曲」では,コーダーのソロでテンポを落とし繊細に哀愁たっぷりに奏で、「アンネン・
ポルカ」では,繰り返しでテンポや音量を抑え繊細な感じを与えている。ポルカ「雷鳴と電光」ではまさしく雷鳴とど
ろくエネルギッシュな演奏を聴かせる。ピツィカート・ポルカではテンポや強弱を自由に揺らして軽妙な聴きどころ
を生み出している。

 このような細工がツボにはまりマークの個性が楽しめる軽妙洒脱で粋な演奏を聴かせてくれる。この録音を発
掘して人々に感謝です。


 05/06/10

TOWER RECORDSで購入



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