●メンデルスゾーン 交響曲 第3番 「スコットランド」
 ロンドン交響楽団
 録音:1960年 4月
 DECCA 466 990−2(輸入盤)




  第2回目は名盤との誉れ高いロンドン交響楽団との「スコットランド」です。マーク様と言えばモーツァルトと
メンデルスゾーンの演奏に定評があります。今年の来日公演もモーツァルトとメンデルスゾーンのプログラ
ムですね。と楽しみにしていたら誠に残念ながら病気のため中止になりました。
 
 第1楽章:序奏部の緩やかで悲しげに語りかける主題,もうひとつの嘆くような主題(0:58)ともにほの暗
い音色を伴って大きく歌う。
 主部(3:43)に入り最初の主題で木管がクッキリ浮かびあがるのが印象的である。次第に盛り上がって行
くが(4:34)で一瞬音量を控えるのが効果的であり,その後のドラマティックな盛り上がりにつながっている。
次の主題(5:02)で木管がコクのある響きでもの悲しい旋律を歌い奏でる。それに答える弦の旋律は語り
けるようである。(6:05)もうひとつの主題では後半の沈み込む味わいがなんとも言えない。
 主題展開部やコーダーでのドラマティックな盛り上がりが特に見事でドラマティックに大きく歌う感じである。し
かし、そこには感情剥き出しの荒々しさは皆無で幻想的な雰囲気を失っていない。
 これは第1楽章に限ったことではありませんがメロディーは感情を込めたように大きく歌うのですが粘った
感じがありません見事な奏で方です。

 第2楽章:序奏からコクのある響きを聴かせる。主部は爽快なスピード感と繰り返しにおける音量アップが
楽しめる。第2主題(1:05)はスタッカートの活かし方がうまく音量は弱いが,弱々しくならず主題として
の存在感を示している。 
 展開部は弦楽器の刻みは繊細な感じがするし奥行きのようなものも感じる。再現部では第2主題が提示
部とは異なり音量は大きく力強く奏でられる。しかも輝かしさも加わるのでいっそうの効果をあたえる。コー
ダーの繊細さは息を呑むばかりである。

 第3楽章:短い前奏が置かれ次の現れる主題を暗示している。弦楽で歌われるしっとりした味わいの主
題,ホルンほの暗い刻みが印象的な第2主題。どのメロディーもしっかり歌い込まれます。再現部のおける
低弦の生かし方、盛り上がりの力強さとともに大きく歌われます。静かに消え行く終曲の繊細さは第2楽章
同様に息を呑むばかりである。

 第4楽章:前楽章の余韻を断ち切るように激しいリズムを刻む中,弦で第1主題が現れる,キレのある厚
い響きである。0:37の金管の悲痛な叫びが印象的である。第2主題(1:06)のもの悲しい雰囲気,後半の
金管による下支え(1:23)が見事である。展開部やコーダー(4:54)での緊迫感をかなりのもで颯爽とした
テンポが生かされている。
 さて,最後の壮大な後奏ではここぞとばかり堂々と奏でる。しかも金管(7:43)(8:18)は下品になる寸前
まで強奏される。一歩間違えると取って付けたような不自然で,おバカで下品な演奏になりかねないが,瑞
々しく落ち着いた感じである。とてつもなく見事なバランス感覚である。

 
それにしても・・・こんな若造時代から知と情のバランス感覚にすぐれているなんて驚きである。

2001/4/18

TOWER RECORDSで購入



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