●モーツァルト 交響曲 第35番 「ハフナー」
 ペーター・マーク指揮/パドヴァ・ヴェネト管弦楽団
 録音:1996年2〜3月
 Arts 47365−2(輸入盤)



 第1楽章:冒頭のキビキビと引き締まった響き、それにつづく弦のわらかさと繊細さの対比は見事でオケの反応
も素晴らしい。音楽が進むと要所要所での、低弦の強調、かろやかな装飾音、リズムのキレ、アクセントが加わり
音楽に立体感を与えている。実にダイナミックで説得力のある演奏である。

 第2楽章は豊かなニュアンスに彩られた演奏で、装飾音の粋な扱い、強弱の使い方、メロディーの歌い方など
マークの指示が徹底している。それがオケの自発性のかのように自然に行なわれているのは素晴らしい限りであ
る。

 祝典的雰囲気を出しているメヌエットである。聴きどころは中間部の弦の繊細さで、とろけるようである。そして冒
頭のテーマに戻る直前、弦を減らしたかのような寂しさと陰のある表現に驚愕する。

 第4楽章は軽快なテンポの中にフレーズの終わりにアクセントを加えたり、強弱を強くつけたり、緻密で自在な表現
を聴かせる。何といっても、コーダーに入ってから降下するきらめくヴァイオリンの装飾音がきらきらと美しい。


 03/07/18


 前に戻る  ホームに戻る


TOWER RECORDSで購入