●モーツァルト 交響曲 第38番 「プラハ」
ペーター・マーク/指揮
パドヴァ・ヴェネト管弦楽団
録音:1996年 2月
Arts 47364-2(輸入盤)
第1楽章の冒頭、鋭角的なフォルティシモの開始にびっくりする。びっくりといえば第3楽章、冒頭の処理
も個性的である。第1楽章の序奏部や第2楽章の中間部はベートーヴェンと勘違いしている!とツッコミを
入れたくなるような堂々とした佇まいである。
全体的に鋭角的なアクセント、力強い金管で刺激的で、それを受け止める木管や弦楽器の繊細な響き
が美しい。この繊細な響きが刺激的な表現をシッカリと受け止めて独特のメリハリ効果を生んでいる。
さらに、この演奏のすばらしさはマークの指揮によって生み出された音楽は「輪郭」がクッキリするため、
ずっしりとした響きであっても重くならず。過激な表現であっても瑞々しく聴こえることである。
この名人芸が聴けるのは現在のところパドヴァ・ヴェネト管弦楽団との録音セッションだけでありマークの
芸に触れる喜びである。
’59年のロンドン交響楽団との録音と比較すると演奏の基本路線は変わりがなく、パドヴァ・ヴェネト管弦
楽団の方がより意欲的かつ過激な表現で、ロンドン交響楽団との録音は控えめな表現である。しかし聴いた
感想はパドヴァ・ヴェネト管弦楽団盤は自然に、ロンドン交響楽団盤は荒削りに聴こえる。指揮者の円熟を
感じさせるおもしろい例である。
04/07/24
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