Rhapsody in Kunya


 2004(平成16)年12月29日(水)

今年を振り返る企画〜不思議なCD編

●シューベルト 交響曲 第9番 D.944 「ザ・グレート」
 ペーター・マーク/指揮 
 フィルハーモニア・フンガリカ
 録音:1969年
 CONCERTO ROYALE 206241-360 と Quadromania 222165-444

 CONCERTO ROYALE盤とQuadromania盤には謎がある。まずは両盤を整理する。

 CONCERTO ROYALE盤はシューベルトの交響曲第9番「ザ・グレート」の第1楽章と第2楽章が収録され
ている。3枚組みのセットで、他にシューベルトの交響曲第1〜4番と8番「未完成」も収録されている。
 発売は2001年。

 Quadromania盤はシューベルトの交響曲第9番「ザ・グレート」全曲が収録されている。4枚組みのセットで、
他にシューベルトの交響曲第3〜6番と室内楽が収録されている。
 発売は2004年。

 Quadromania盤の交響曲第9番「ザ・グレート」を聴いているとCONCERTO ROYALE盤と印象が違うのに
気づいた!最初はマスタリングの違いに思えた。Quadromania盤は弦楽が強く鳴り、全体的に明るいトーン
に仕上がっている。だがそれだけではなかった!
 大変よく似た演奏であるがテンポの加速減速や強弱の具合が明らかに違うのである。さらに床がきしむ
音、小物が落ちる音などもズレている。


 つまり別テイクの音源と判断できるのである!


 2004(平成16)年12月25日(土)

今年を振り返る企画〜がっかりしたCD編〜その3

●モーツァルト 協奏交響曲    (Rec:1987)
          交響曲 第25番 (Rec:1990)
          交響曲 第29番 (Rec:1989)
 ペーター・マーク/指揮 
 ローマRAI放送交響楽団
 ARTS ARCHIVES 43032-2

 表示には Original 1987-1990 RAI digital recording と誇らしげに書かれているが聴いてビックリ、貧弱な
録音クオリティーであった。ARTS ARCHIVESシリーズとしてペーター・マークのライブ録音を発掘してくれる
のは有り難いが、年代的にもっと優れた音源があると思うのが・・・・


 2004(平成16)年12月24日(金)

今年を振り返る企画〜がっかりしたCD編〜その2

●英国国歌
 ブラームス 悲劇的序曲
        交響曲 第1番
        交響曲 第2番
 録音:1952年 9月29日

●英国国歌
 ブラームス ハイドンの主題による変奏曲
        交響曲 第3番
        交響曲 第4番
 録音:1952年10月1日

 アルトゥーロ・トスカニーニ/指揮
 フィルハーモニア管弦楽団  
 TESTAMENT SBT 3167(輸入盤)

 トスカニーニがフィルハーモニア管弦楽団を客演した機会に録音されたで、数年前に発売され評判になっ
た記憶がある。発売当時はトスカニーニに興味がなかったが、その後トスカニーニに録音に触れトスカニー
ニに興味を持つようになった。

 またしても、断りを入れるが!

 私は貧しい録音からも演奏の素晴らしさを聴き取るほどの技量はもち合わせていない。また録音に対する
評価も再生装置や好みを大きく左右されるものである。この事を念頭に入れておいてもらいたい。

 まず、録音状態は初日と二日目で異なる。特に初日はティンパニが強く入り、弦楽が引っ込む傾向である。
さら私にはティンパニの音が非常に乱暴に聴こえるのである。このため交響曲 第1番と2番は決め所で
ティンパニが轟くたびに興ざめしてしまい、口惜しい気持ちになるのである。

 二日目は、マイクのセッティングが補正されたのか、ティンパニが弱くなり、弦楽が前に出てきて初日の録音
よりバランスがよくなっているが・・・・聴き進むと弦楽がおとなしく、さらに弦楽らしい艶やうるおいに欠け「こん
なはずでは!」という口惜しい気持ちになるのである。


 2004(平成16)年12月22日(水)

今年を振り返る企画〜がっかりしたCD編〜その1

 当たり前すぎることであるが、念のために、誤解がないように説明する!

 がっかりしたCD編では悪口を言うことになる。

 もしかしたら、あなたが感動に打ち震えたCDが含まれているかもしれない。私自身、自分がすばらしいと
思ったものをけなされるの正直に言って面白くない。

 しかしである。

 やっぱりネタとしてがっかりしたCD編は面白い!

 それから私の書くことは純粋な感想文であって評論文ではない!

 だいたいが私が聴く前に過剰な期待をもち過ぎていた結果、がっかりしのである。その感想文なのである。


●ベルリオーズ 幻想交響曲
 サー・コリン・デイヴィス/指揮
 ウィーン・フルハーモニー管弦楽団
 録音:1990年11月12-14日
 PHILIPS  PHCP-174

 コリン・デイヴィスは私が贔屓にしている指揮者である。最近、彼の指揮するCDを集中的に購入するが全
てがすばらしいと絶賛するつもりはない。正直に言うと多くは可もなく、不可もなく、といった印象である。

 そんなことは分かっているつもりでもウィーン・フィルとの共演である幻想交響曲には期待をもっていた。

 それは1974年録音したコンセルトヘボウ盤も2000年に録音したロンドン交響楽団盤も、両盤ともにすば
らしかったからである。きっと1990年録音のウィーン・フィル盤もすばらしいに違いない!なにしろ日本一有
名なオーケストラ(当社調査結果)との共演盤なのだから!

 しかも!このCDはなかなか発見できず、すばらしい演奏にちがいないという妄想が拡がってしまった経緯
がある。某中古盤市場で発見したときの喜びは野口みずき選手の金メダル獲得に匹敵するほどであった。

 結果は・・・・・

 意欲的な表現が多く聴かれたが、それを支えるテンションが弱く、中途半端な熱気?中途半端なスケール
感?中途半端な端正さ?なんともぬるい演奏に感じられた。 


 2004(平成16)年12月20日(月)

今年を振り返る企画〜よかったCD編〜その11

●シベリウス ヴァイオリン協奏曲
 サルヴァトーレ・アッカルド/ヴァイオリン
 サー・コリン・デイヴィス/指揮
 ロンドン交響楽団
 録音:1979年3月
 PHILIPS 420 895-2

 サルヴァトーレ・アッカルド音楽之友社出版の本によるとパガニーニのヴァイオリン協奏曲が高く評価され
ている。その程度の認識であった。当盤は贔屓の指揮者であるサー・コリン・デイヴィス目当てに購入した盤
であった。

 アッカルド氏の奏でる音色は芯が太く・ずっしりと響くものがあった。


 2004(平成16)年12月18日(土)

今年を振り返る企画〜よかったCD編〜その10

●シベリウス 交響曲 第3番
 サー・コリン・デイヴィス/指揮
 ロンドン交響楽団
 録音:2003年 9〜10月
 LSO Live LSO0051

 シべリウスの曲で現在もっとも気に入っているのが交響曲 第3番である。

 親しみやすいメロディー、弾むようなリズム、簡素ながら盛り上がる終楽章。全体を通してわずか30分弱の
曲であるが、旋律は伸びやかに拡がりシベリウス特有の硬質感が北欧の雰囲気を感じさせる(とエラソーに言っ
たけれど北欧を訪れた経験がないことを告白しておく)。


 因みに併録の交響曲 第7番は私にとっては難解であった。

 この曲がすばらしいと思える日が来るのだろうか?


2004(平成16)年12月17日(金)

今年を振り返る企画〜よかったCD編〜その9

●マーラー 交響曲 「大地の歌」
 コリン・デイヴィス指揮
 ロンドン交響楽団
 ジョン・ヴィッカーズ(テノール)
 ジェシー・ノーマン(アルト)
 録音:1981年3月15〜18日
 PHILIPS PHCP-9014

 デイヴィスの演奏は極端なテンポや表現をしないというイメージがあるが、この演奏ではテンポの緩急を大きく
とっている。概して奇数ナンバーは速いテンポで偶数ナンバーはゆったりとしたテンポを採っている。

 目立つのは第3楽章の「青春について」で、かなり速めのテンポでリタルダントも控えめでサッと駆け抜ける印
象で、はかない青春の寂しさを表しているように感じる。

 第4楽章の「美について」は遅いテンポで丁寧にじっくり仕上げている印象で、遅いテンポと、止まるようなリタ
ルダントによって時間が止まっているような風景が広がっている。中間部は徐々にテンポを上げてゆくコントロー
ルのよさ、ティンパニを徐々に音量を上げるなど芸の細かさが冴える。

 第6楽章は「告別」はゆっくりとしたテンポで流れてゆく演奏時間35分弱。第4楽章同様にノーマンの歌を伴っ
てオケをじっくり丁寧にコントロールして観念の世界を描いてゆく。


 2004(平成16)年12月16日(木)

今年を振り返る企画〜よかったCD編〜その8

●マーラー 交響曲 第2番 「復活」
  ズービン・メータ指揮
  ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
  ウィーン国立歌劇場合唱団
  イレアナ・コトルバス(ソプラノ)
  クリスタ・ルートヴィヒ(アルト)
  録音:1975年2月
  DECCA 466 992-2(輸入盤)

 マーラーの「復活」は強烈な音楽作品である。激烈な第1楽章、穏やかな第2楽章、俳諧的な第3楽章、
瞑想的な第4楽章「原光」、「復活」の壮大なドラマが展開する第5楽章など仕掛けが多くマーラーの描き
出す壮大なドラマが展開される。

 しかし、ハッキリいってマーラーの「復活」はくどい、冗長である!と思う。このくどさ、冗長のおかげで、
80分前後の曲が体感的にはもっと長い大河ドラマのように感じるのである。

 メータはこの大河ドラマをメリハリを利かせ展開する。速めのテンポでここぞ!という所でテンポを落と
しタメを作ったり、テンポの加減速を多用する巧みなテンポ設定をしたりする。
 さらにウィーン・フィルが色気のある音色で甘美に甘いメロディーを歌ったり、楽器が傷むのでは?と
心配するほど打楽器が轟くなど、マーラーの描いた音楽の激情、起伏をたっぷりと聴かせます。

 若きメータの快演!と普段は紋切り型の表現を嫌う私ですが素直にしたがってしまいます。


 2004(平成16)年12月15日(水)

今年を振り返る企画〜よかったCD編〜その7

●ブラームス 交響曲 第1番
 ブルーノ・ワルター/指揮
 コロンビア交響楽団
 録音:1959年11月25日
 CBS/SONY 22DC5587

 ブルーノ・ワルターが最晩年コロンビア交響楽団とステレオ録音を数多く遺した。コロンビア交響楽団は録音
用の臨時変編成,小編成のオーケストラなのでブラ1のような曲との相性はよくない!

 と勝手に思ったのですが、思い過ごしでした。遅めのテンポで堂々と雄大で厚みのある音楽を展開している。
しかもオケが薄味に感じることもなかった。

 やっぱり曲によってオケの編成を変えていたのだろうか?


 2004(平成16)年12月14日(火)

今年を振り返る企画〜よかったCD編〜その6

●ブラームス 交響曲 第1番
 エフゲニー・ムラヴィンスキー/指揮
 レニングラード管弦楽団
 録音:1949年
 MELODIYA/BMG BVCX-4021

 強烈な演奏であった。

 ピンと張り詰めた空気が支配するピアニッシモ。硬い塊が飛んでくるようなフォルティシモ。ムラヴィンスキーは
徹底的に、贅肉を削ぎ落とし、凝縮された硬質な響きを構築し、一気呵成に驀進する。さら一気呵成の爽快感
までも排除してピリピリした緊張感を貫くのである。 


 2004(平成16)年12月10日(金)

今年を振り返る企画〜よかったCD編〜その5

●シューベルト 交響曲 第9番 「ザ・グレート」
  カルロ・マリア・ジュリーニ/指揮
  シカゴ交響楽団
  録音:1977年4月
  Deutsche Grammophon UCCG 9446

 この演奏を一言で表現すると「「コクまろ」です。

 因みにS&★食品とは関係ありません。「コクまろ」サウンドは「こくがあってまろやか」そういう意味です。


 2004(平成16)年12月10日(金)

今年を振り返る企画〜よかったCD編〜その4

●ベルリオーズ 幻想交響曲
 サー・コリン・デイヴィス/指揮
 アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団
 録音:1974年 1月
 PHILIPS  464 692-2

 サー・コリン・デイヴィス/指揮の幻想交響曲のディスクは4種類ある整理すると
(年齢は誕生日まで遡ってないので多少のズレはある)

回数

オーケストラ

録音年

レーベル

年齢

 1

ロンドン交響楽団

1963年

PHILIPS

36歳

 2

アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団

1974年

PHILIPS

47歳

 3

ウィーン・フルハーモニー管弦楽団

1990年

PHILIPS

63歳

 4

ロンドン交響楽団

2000年

LSO Live

73歳

 映像ソフトや海賊盤を加えれば数は増えると思うが私はその分野に詳しくない。

 そもそも録音の根本は商業活動でレコード会社の市場戦略、ラインナップ、新らしい録音システム、レコード
会社の移籍、指揮者の希望、オーケストラの要望、などなどさまざまな要素が絡み合って録音が実施される。
 こんなことを改めて書き綴ったのはコリン・デイヴィスがモーツァルトとベルリオーズのスペシャリストなどと形
容され、それが一人歩きすることを懸念しているからである。

 幻想交響曲はクスリによる幻覚を元ネタとして作曲されたと誤解している人?また狂気と情熱の音楽である
と思っている人?サー・コリン・デイヴィスはあなたの<勘違い><思い込み><洗脳>を解いてくれるかもし
れない。

 サー・コリンは幻想交響曲の狂気と情熱よりも<曲想の美しさ><絡み合いの妙味>をたっぷりと味合わせ
てくるます。さらに理性的で冷い、無味乾燥な演奏に至らないように隠し味を用意しています。そして最後の最
後で隠し味だったものを表出する手綱(指揮棒?)捌きを披露します。


 2004(平成16)年12月 9日(木)

今年を振り返る企画〜よかったCD編〜その3

●ベートーヴェン:交響曲 第9番 「合唱」
 サー・コリン・デイヴィス/指揮
 バイエルン放送交響楽団&合唱団
 ヘレン・ドーナス(S)
 トィルデリーゼ・シュミット(MS)
 クラウス・ケーニヒ(T)
 サイモン・エステス(B)
 録音:1985年
 PHILIPS MP-106

 コリン・デイヴィス指揮の第九はシュターツカペレ・ドレスデンと’91年に録音した盤もあるが、私の印象で
はバイエルン放送交響楽団との旧録音の方がよかった。

 テンポ設定、表情付けなどは抑制されたオーソドックスな演奏であるが、ジワジワと伝わる熱いもの<熱気
や勢い>は旧録音の方がより強く伝わってくる。

 このジワジワと伝わる熱いものを感じ取ると、あなたもサー・コリン★フリークになるかもしれない・・・・


 2004(平成16)年12月 6日(月)

今年を振り返る企画〜よかったCD編〜その2

●ベートーヴェン:「コリオラン」序曲
           交響曲 第6番 「田園」
           「エグモント」序曲
 カルロ・マリア・ジュリーニ/指揮
 ミラノ・スカラ座管弦楽団   
 録音:1991〜92年
 SONY CLASSICAL SK 53974

 最初のトラックに静かに終わる「コリオラン」序曲,真ん中に田園交響曲,最後は盛り上がる「エグモント」序曲を
配置するアルバムである。序曲で余白を埋めるのでなく上下に組み込むのはCDを一つのアルバムとして構成した
結果なのだろうか?

 先日とりあげたムラヴィンスキー/指揮の田園交響曲は描写性や感情表現、牧歌的な趣はバッサリと切り捨てた
演奏としたらジュリーニ/指揮の田園交響曲は描写性や感情表現、牧歌的な趣を味わえる演奏となるだろう。弦楽
の細やかな表現、ゆったりとしたテンポがそれをさらに盛り立てる。

 前後に配置された序曲も田園交響曲の趣をうまく引き渡し、引き継いでいる。


 2004(平成16)年12月 3日(金)

今年を振り返る企画〜よかったCD編〜その1

 ●ベートーヴェン 交響曲 第6番 「田園」
  エフゲニー・ムラヴィンスキー/指揮
  レニングラード・フィルハーモニー管弦楽団   
  録音:1979年 5月21日(ライブ)
  Altus ALT063

 「なんと、そっけない演奏だろう・・・・」 

 聴き始めたときの率直な感想である。「田園」交響曲の描写性や感情表現、牧歌的な趣はバッサリと切り
捨てられていた。

 そして、聴き進むとそのユニークな表現に驚く。例えば、フォルテのパッセージをメゾ・フォルテで奏でたり、
リズムの刻みをずらしたり「ひねくれている」とさえ思えるほど個性的であった。しかも音色もモノ・トーンでまっ
たく「田園」らしくなかった。

 ところがである。

 この緻密かつ繊細なモノ・トーンの演奏に付き合っていると不思議と「すばらしい演奏に接している」という充
実感と満足感が拡がるのである。


 2004(平成16)年12月 1日(水)

 12月である。毎年、恒例化してしまった今年買ったCDを振り返る企画・・・・企画のためCDラックを見ると
腕組みして「ん〜ん」と唸ってしまった。

 これは今年買ったけ?

 毎年のことです・・・・


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