●ブラームス 大学祝典 序曲
 ハンス・クナッパーツブッシュ指揮
 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 
 録音:1957年
 


 この録音をはじめて聴いたのはクラシック音楽に興味をもちはじめた頃でした。家の近くに図書館があり
LPレコードを借りまくっていました。当時、演奏家による演奏の違いにはあまり興味がなくひたすら有名曲
のLPを借りまくっていました。
 そんな中、偶然手にしたのがブラームス名演集と題されたLPでした。特に大学祝典序曲に大感激してし
まいました。
 いわば大学祝典序曲は私にとってクナッパーツブッシュの原体験であり、演奏家の違いを強く認識した原
体験となりました。

 さて、昔話はこれくらいにして

 冒頭の深いリズム,豊かな雰囲気がいいですね。ホルンがいい味を出している。0:43付近で弦楽器が
やさしいメロディーを奏でるが、なんとも美しく味わい深い。
 音楽はしだいに盛り上がり2:34頂点に達するが、クナはそのままのテンポ(テンポが落ちるようにも感
じる)で突き進む。言葉で表現する大したことないが、はじめて聴いた当時、多感だった私はこの部分に大
きな衝撃を受けた。
 以来、私は録音であれ,生演奏であれ、いろいろな音楽を聴いたが、これを上回る強い衝撃を受けたこ
とがない。
 魅惑的な音楽世界はまだまだつづく、例えば3:22弦楽器がやさしいメロディーを奏でるが、なんとも美し
く、つづくピチカートが生き生き語りかけてくる。5:04では金管をおもいっきり強奏させ楽しい効果をあげて
いる。その後のピチカートの美しいこと美しいこと。
 6:00音楽は激しく、荘厳な雰囲気になり、やがてテーマが回顧される。ここもクナは慌てず,騒がず、じっ
くり音楽を描いてゆく。金管,ピチカートの合いの手、木管、弦楽器の何気ない旋律までもが生き生きと語り
かけてくる。
 やがて音楽はコーダーを迎え、名残惜しむような雰囲気をたたえ、じっくりと悠々とした音楽を描き出し締
めくくる。
 まったく驚異的としか思えない音楽の世界が体験できる。すばらいい演奏だと私は確信している。


 00/06/10


前に戻る  ホームに戻る

TOWER RECORDSでCD購入