●ブラームス 交響曲 第4番
 ハンス・クナッパーツブッシュ指揮
 ケルン放送交響楽団 
 録音:1953年5月8日
 SEVEN SEAS
 *私の所有しているSEVEN SEAS K30Y 267盤では1957年と表記されている。吉田光司氏/
   クナッパーツブッシュ・ディスコグラフィー/キングインターナショナルによると1953年5月8日が
   正しい日付のようである。


 
録音状態ですが,残念ながらあまりよくない・・・・といってもメチャクチャ酷いわけでなく,オケの音色が潰れ
ている感じですね。幸いヒス・ノイズは少ないので聴きやすい。

第1楽章
 クナ様の出だしは、しっとりとした出だしである。ゆらぐような強弱の効果、内声部をえぐり出す効果、なによ
り曲が進むにつれ充実して音楽が生きているように聴こえるのはうれしい限りだ。
 テンポは堅牢で曲想から少しテンポを上げた方がよいと感じる部分もあえて、そのままのテンポを堅持する。
特にコーダーではいささかの弛みもなく
深く力強い堅牢な音楽を構築して行く。

第2楽章
 私は冒頭を聴くと薄暗い荒野に深々と降る雪の情景を思い浮かべる。さてクナ様の演奏であるがガッシリし
た骨太の演奏を聴かせる。2:42からのメロディーは情感たっぷりに歌い,しみじみした雰囲気に変わる。3:
41からの弦による歌わせ方も情感たっぷりである。
 7:49からは力強い曲想になるがクナ様の力強さは熾烈なほどである。しかし、感情に走った熱気とは違い
あくまでも深さの追求に重点が置かれる。そのため8:19からの分厚い歌い方が対比のように生きてくる。

第3楽章
 非常に強烈な出だしである。強靱で輝かしい響き,物々しい雰囲気、強力な推進力を湛えている。オケの響
きはよくもここまでと思わせるほど強靱である。中間部はひなびた味わいを聴かせる。コーダーではさらに推
進力が増し、それを土台に強靱で輝かしい響きを構築して行く。その響きは轟くと形容した方がふさわしい。

第4楽章
 冒頭をじっくり描き、以後の変奏はテンポの緩急,するどい金管の叫びを伴って太筆で描いて行く。5:58
強烈な金管の響きで冒頭の主題が回想されクライマックスが開始される。ひとつひとつの響きの強靱さは地
の底まで轟くようであり,強力な推進力で音楽を牽引して行く。なにより音楽が生き活きしていることに驚く。
 8:53テンポはグッと遅くなり再び主題が回想されるが推進力はさらに増強し音楽全体が膨れ上がり強靱
なクライマックスを築き上げる。


 01/05/19

TOWER RECORDSで購入



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