●ブラームス 交響曲 第3番
 ハンス・クナッパーツブッシュ指揮
 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
 録音:1950年11月
 Chaconne CHCD-1005




 クナッパーツブッシュが指揮したブラームス交響曲第3番の録音は数多く残されている。吉田光司氏のディスコグ
ラフィーによると8種類におよぶそうだ、私の手元にあるのは1944年9月ベルリンPO盤(TAHRA)、1950年11月ベル
リンPO盤(Chaconne)1963年11月シュトゥットガルトRSO盤(GOLDEN MELODRAM)の4種類である。

 さて、今回は1950年11月ベルリンPO盤を採り上げる。私の手元あるのはChaconne盤であるが他にも3種類のC
Dがリリースされている。

 ・KING SEVEN SEAS KICC-2411、
 ・RARE MOTH RM 416
 ・ISTITUTO DISCOGRAFICO ITALIANO IDIS 6362

 第1楽章、冒頭から大変ものものしいオケ咆哮である。言葉で表現するとスロー・テンポで云々となるところだが、テ
ンポよりも、そのうねるような流れのなかで放射されるパワーに圧倒される。テンポ変化も大きくアッチェレランドよりリ
タルダントを効果的に使い高揚感よりスケールの雄大さを演出する。
 音楽の表情も物々しいだけでなく、静粛の中でオケが奏でる幻想的な世界が展開されたり、一音一音抉り出し掘り起
こす世界が展開されたり、極限までテンポが落ち、叩きつけ踏みしめような世界が展開されたりと、その表現はうねるよ
うに流動的に変化する。

 第2楽章と第3楽章は第1楽章(第4楽章)の物々しい雰囲気とは一転しみじみした味わいである。言うなれば“動”か
ら“静”への転換である。しかし”静”と言ってもクナッパーツブッシュの奏でる世界は濃く深い。メロディーを歌い抜き、芯
の強い音色、テンポの揺れ、けして軽々しく音楽になっていない。

 第4楽章はクナ節の総決算である。うねるようなテンポ変化、叩きつつけるような迫力、そして最高の高揚感!著しく
個性的な演奏である。そして、これだけ劇的な表現でありながら、音楽に没入するとか、熱狂とは、異なり、どこかゆと
りをもち常に客観的な視点で指揮している印象を与えるのもクナの特徴である。


TOWER RECORDSで購入


 03/08/24

 前に戻る  ホームに戻る