●ブルックナー 交響曲 第3番
 ハンス・クナッパーツブッシュ指揮
 ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団 
 録音:1964年 1月16日
 Chaconne CHCD1002



 ミュンヘン・フィルとの最後の公演となったライブ録音である。クナ様には引退宣言をした訳でないので指
揮者もオケもこれが最後の公演といった意識はなかったと想像するが・・・・全前編に漂う異様な静けさ(音
楽が鳴っているのに静けさと言うのは矛盾しているが)寂寥感を聴くと、やっぱり最後の公演といった意識
があったのでは?と思ってしまう。
 使い古された言葉であるが巨匠最後の境地を感じてしまう。演奏に一切の力みがない,しかも余裕とかゆ
とりいったものも感じさせない。音楽は常に自然体に奏でられ聴く者に胸にしみじみと語りかける。

 第1楽章と第4楽章は先ほどの特徴が顕著に現れていると思う。一聴すると淡々とした枯れた演奏に感じ
るがオケの共感を伴った演奏に参ってしまう。決めどころではテンポを落としてじっくり奏でるが、力みや気
負いを感じさせない。音楽はより深い世界へと進むかのようである。
 第3楽章のトリオで奏でられるしみじみとした味わい!?いったいどのような指示,指揮をすればこんなに
も深い味わいを醸し出すのか?不思議である。
 第4楽章のコーダーでは別れを惜しむような雰囲気、聴衆の我に返ったような拍手を聴くと胸があつくなる。

 クナ様の録音の中でも異彩を放つ録音であろう。

 01/09/30


TOWER RECORDSで購入


 前に戻る  ホームに戻る