●モーツァルト セレナーデ 第13番 「アイネ・クライネ・ナハト・ムジーク」 K.525
 ハンス・クナッパーツブッシュ指揮
 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
 録音:1940年5月12日
 TAHRA/TAH 320-322(輸入盤)



 クナッパーツブッシュの「アイネ・クライネ」である。勝手な思い込みであるがクナ様とモーツァルトの相性は悪い
思っていたのでクナ様の「アイネ・クライネ」の録音が存在するなんてビックリである。因みに交響曲 39〜41
番も・・・・ビックリするのはこれだけではない。演奏もビックリで特に第4楽章はCDプレーヤーが壊れたと錯覚す
るほどであった。

 第1楽章の出だしはビッシと揃える気はないようでお互いが腹の内を探るように開始される。明るくで軽やかな
モーツァルトでなくズッシとした響きはクナ様ならではである。また。クレッシェンド、デクレッシェンド、ディミュニエ
ンド、アクセントなど表情付けが多くあり、展開部では繰り返されるフレーズの後半を弱音で弾くエコー効果も使う。
見かけによらず(?)細かい芸を魅せている。
 第2楽章は丁寧な出だしに惹かれる。曲が進むとリタルダンドとディミュニエンドを効果的に使い繊細な美しさを
感じさせる。中間部で同じフレーズが繰り返されるたびに音楽は風格が増し、絶妙なテンポ変化と間合いで冒頭
の主題を導く手腕は流石クナ様である。そしてコーダーでは存在感たっぷりのフォルテ(6:01)で雰囲気を変え、
最後はヴァイオリンのソロ(に編曲)で哀愁たっぷりに歌う。
 第3楽章は第2楽章の余韻と決別するかのような華麗でチャーミングな演奏である。そしてトリオおける、とろけ
るようなヴァイオリンの調べの美しさ!まったく顔に似合わずヤルことが心憎い。
 そして第4楽章である。私はCDプレーヤーが壊れた?と思うほどの前代未聞の激スロー・テンポである。これは
もはやクナッパーツブッシュ編曲と言い切ってしまってよいほどで、モーレツにおもしろい。このテンポによってヴァ
イオリンの降下音は生かされ。メロディーがチャーミングになり、思いもよらない世界が広がる。しかも、あのウィー
ンフィルにあのテンポと表現を納得?させ演奏させてしまうクナ様の手腕に驚くのである。


 03/01/20

TOWER RECORDSで購入


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